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【セレクトセール2020】1日目の結果

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐべく、開催方法が変更された「セレクトセール2020」。その1つが入場時の検温やセールエリア内におけるマスクの着用であり、またせり会場内の「三密」を防ぐべく、座席数も大幅に削減された。

来場者を正確に把握する意味合いから、当日の購買者登録は行わず、期日までの事前登録のみ。しかも、会場に入ることを許されるのは購買者と同伴者だけとなった。また、毎年多くの取材陣が詰めかけるセレクトセールであるが、今年はその数も限定されている。

しかしながら、1歳セッションが行われた13日(月)の展示では、最後の下見を行う購買関係者が厩舎へと集まり、パレードリングに上場馬が出てくると、人が集まり、いつものセレクトセールと変わらない光景が見られていた。

最初の上場馬を待ち受けるセール会場の椅子に着席が増えてきたなか、日本競走馬協会会長代行の吉田照哉氏が開会の挨拶を述べていく。

「新型コロナウイルス感染症の影響もあり、今年のせりが開催されるかどうかが心配でしたが、無事にこの日を迎えられたことをうれしく思います。先日のジャパンダートダービーでは、ダノンファラオがセレクトセール上場馬としては区切りとなる(GI・JpnI)100勝目をあげただけでなく、デアリングタクトも桜花賞とオークスを優勝。牧場の規模に関わらず、いい馬がこの場所に集まってくることが証明されました。今年の上場馬も素晴らしい馬がそろっているだけに、かなりの活躍が見込めるはずです」

通常ならばこの挨拶の後は、昨年のセール後にGIを制した関係者への金メダル授与式が行われていたが、今年は防疫の観点からVTRだけの紹介となった。その後に今年のセレクトセール最初の上場馬である、ポロンナルワの2019(牡、父ハーツクライ)が姿を見せる。

3000万円の一声で始まったせりは、100万円、200万円単位で次々と数字が更新されていく。緊張感とはまた違う、静寂の保たれた会場内では、その数字の上がり方だけが時間が流れていることを証明しているようでもあった。1億を超えてからは500万円単位で競り上がっていき、1億2500万円でエフレーシングが落札。上場1頭目から、この日最初のミリオンホースが誕生した。

しかしながら、いつもは会場外でミリオンホースを取り囲むカメラマンや、落札者から話を聞こうとする取材陣の姿がほとんど見られない。今年のセレクトセールでは囲み取材ができなくなっただけでなく、落札後の写真もオフィシャルからの配信となったことで、オレンジのビブスを着用した取材陣は、会場の中や外で、次なる高額取引馬の誕生を見守っていた。

次のミリオンホースとなったのは、この日、最初のディープインパクト産駒の上場馬となったキャンプロックの2019(牡)。1億9000万円で野田みづき氏が落札している。その後も、セレクトセール前に産駒が立て続けに新馬戦を勝利した、ドゥラメンテ産駒のプラウドスペルの2019(牡)を廣崎利洋HD(株)が1億6000万円で落札するなど、ノーザンファーム生産馬を中心に高額取引馬が誕生していく。

この日、最初のダブルミリオンとなったのは、ノーザンファーム生産のディープインパクト産駒である、テディーズプロミスの2019(牝)。2億4000万円で(株)キーファーズが落札している。ここ数年のセレクトセールでも高額馬誕生の方程式となった「ディープインパクト産駒×ノーザンファーム生産馬」だが、この方程式に当てはまるフォエヴァーダーリングの2019(牡)が、セレクトセール1歳セッションの歴史を塗り替えていく。

先日(6月20日)のメイクデビュー函館で半姉のモンファボリが2着馬に0秒9差をつける衝撃のデビューを飾り、今週の函館2歳Sでも人気の中心となっている、まさに旬な血統馬。姉と共通するスピード能力の高さを証明するかのような好馬体も相まって、せりは1000万円単位で数字が塗り替わっていった。

いつしかセレクトセール1歳セッションの最高落札額だった3億6000万円が更新されると、電光掲示板の数字が「40000」に変わってからしばらくして、鑑定人のハンマーが落とされた。4億円の取引額は国内の1歳市場における史上最高額であり、落札者は(株)ダノックスとなっている。

その後もディープインパクト産駒は、アブソリュートレディの2019(牡)が2億2000万円〔金子真人ホールディングス(株)が落札〕、パレスルーマーの2019(牡)が1億9000万円(麻布商事が落札)、カンビーナの2019(牡)が2億円(島川隆哉氏が落札)と、今年のセレクトセール1歳セッションにおける、活発な競り合いの起爆剤となっていく。

それに触発されたかのように、他の種牡馬の産駒からもミリオンホースが次々と誕生。ハーツクライ産駒ではラッキートゥビーミーの2019(牡)が1億9000万円(エフレーシングが落札)、チェリーコレクトの2019(牝)が1億4500万円(麻布商事が落札)。キングカメハメハ産駒でも、ヒストリックレディの2019(牡)を1億1500万円で、金子真人ホールディングス(株)が落札している。

だが、フォエヴァーダーリングの2019の落札から約3時間後、また歴史が塗り替えられていく。この日8頭目のディープインパクト産駒として上場されたシーヴの2019(牡)は、最初の一声で1億円の声がかかると、その後、2億円、3億円とあっという間に数字が書き換わっていく。史上最高額が更新されたばかりの4億円を超えても、その勢いは止まることがなく、1歳市場での最高額、日本の競走馬市場でも史上3位となる5億1000万円の落札額で、国本哲秀氏が落札した。

囲み取材は許されていないものの、関係者と喜びを分かち合った国本氏は、

「色々な馬を下見してきましたが、この馬しかいないと思っていました。10億までは行くつもりでした」

と、ソーシャルディスタンスを保った距離で話を聞いていた取材陣にも聞こえるような声でコメントを残した。

その後もディープインパクト産駒への評価の高さは変わることがなく、カルティカの2019(牡)が1億7000万円〔廣崎利洋HD(株)が落札〕、ユーロシャーリーンの2019(牝)が1億4500万円(エフレーシングが落札)と、次々とミリオンホースが誕生していく。

また、今回のセールでは持ち込み馬の人気が高く、Kitten's Joyの持ち込み馬となるジョイフルビクトリーの2019(牡)は、1億500万円で(株)ダノックスが落札。Caravaggioを父に持つオールドタイムワルツの2019(牡)を、1億500万円で麻布商事が落札している。また、二冠牝馬デアリングタクトの全妹ということで注目を集めていたデアリングバードの2019(牝、父エピファネイア)は、4900万円で(株)サラブレッドクラブライオンが落札している。

その後も上場馬たちには次々と落札のハンマーが落とされていき、この日、最後の上場馬となるマルシアーノの2019(牝、父キングカメハメハ)も、1億円を超えるとそこから一気に数字を更新していき、1億7000万円で麻布商事が落札。結果として1億円以上の取引馬は18頭を数えるなど、新型コロナウイルス感染症による影響は全く感じさせないストロングセールとなった。

落札総額の104億2800万円は昨年に次ぐ史上2番目の売り上げとなり、1頭あたりの平均価格である4554万円も昨年に及ばなかったものの、それでも史上3番目の高い数字を残している。

せりの後、代表記者会見に臨んだ日本競走馬協会理事の吉田勝己氏は、

「始まる前は、この情勢の中でどのようなことになるのか(という感じでしたが)、とにかく僕は、せりを開催できればいいなと思っていました。まず開催することが第一で、あまり結果を期待していたわけではないので、本当にこの結果には驚きですね。実際の馬を見てもらって、納得してせりに参加してもらえたことが、この数字につながったとの感もありますし、明日の当歳市場でもこの勢いが続いてくれたらと思います」

と、笑顔で語っていた。

(文:村本浩平)

注記:金額は全て税抜き

2020年7月13日21時30分
(JRA-VAN)


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