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【セレクトセール2019】1日目の結果

7月8日、日本競走馬協会の主催する「セレクトセール2019」の1歳セクションが開催。社台グループの各牧場を中心に、血統、馬体などから選抜された239頭の1歳馬が、会場である苫小牧市・ノーザンホースパーク特設会場に姿を見せた。

セリに先立って開催された開会式で挨拶に立った、日本競走馬協会会長代行の吉田照哉氏は、

「今年で22回目を迎えるセレクトセールですが、これまでに取引馬が上げたGJの勝利数は90勝となりました。セリが開催されたばかりのころは、果たして上手く行くかと心配したものですが、今年に入ってからもセリの出身馬が、日本全国で走り回っております。今年も更に素晴らしいラインナップが揃っております」

 と挨拶に立った。その後は昨年のセール後にGJを制した関係者への金メダル授与式が行われた。ダノンファンタジー(阪神JF)、アドマイヤマーズ(朝日杯FS、NHKマイルC)、ノームコア(ヴィクトリアマイル)、ラヴズオンリーユー(オークス)、ロジャーバローズ(日本ダービー)の関係者に渡される金メダルの先導役となったのは、ノーザンホースパークのポニーショーで活躍するヤマちゃん。ヤマちゃんはノーリードでの演技を見せたり、関係者に金メダルが渡されるときには地面を叩くようにして拍手を贈るなど、愛らしい姿で場内を沸かせていた。

 その開会式で沸いたセリ会場に、いきなりどよめきが起こる。上場番号1番のルモスティの2018(牡、父ドゥラメンテ)は、7000万円の一声から次々と電光掲示板の数字が塗り変わり、1億2000万円で鑑定人のハンマーが落とされる。落札者となったのはスクーデリア。それは空前絶後のセリが行われた、1歳セクションの華々しい幕開けと言えた。

 その後もホットチャチャの2018(牡、父ダイワメジャー)を1億7千万円で杉野公彦氏が落札。この日、初めてのダブルミリオンホースとなったジョコンダ2の2018(牡、ディープインパクト)を、金子真人ホールディングス(株)が2億6000万円で落札していく。

 毎年、多くのミリオンホースの父となっているディープインパクトだが、今年はそれ以外の種牡馬でもミリオンホースが続々と誕生した。この日、上場されたハーツクライ産駒の最高額となっただけでなく、セリ全体でも3番目の取引額となったのが、2億7000万円で杉野公彦氏が落札したシンハディーパの2018(牡、父ハーツクライ)。同じサンデーサイレンス系種牡馬ではアドマイヤキラメキの2018(牡、父キズナ)を1億3000万円で島川隆哉氏が落札している。

非サンデーサイレンス系種牡馬ではロードカナロア産駒から、ムーンライトダンスの2018(牡)は1億6000万円(落札者は(株)Gリビエール・レーシング)、エンジェルフォールの2018(牡)は1億5000万円(落札者は杉野公彦氏)、シャンドランジュの2018(牝)は1億2500万円(落札者は三木正浩氏)と3頭のミリオンホースが誕生。またドゥラメンテ産駒も先述のルモスティの2018の以外にも、ラッドルチェンドの2018(牝)が1億6500万円、ペルヴィアンリリーの2018(牡)が1億5000万円と共に(株)ダノックスが落札している。

 そのロードカナロア、ドゥラメンテの父であるキングカメハメハの産駒からは、ダブルミリオンホースが誕生した。ジンジャーパンチの2018(牡)は2億9000万円(落札者は(株)サラブレッドクラブライオン)、ベルワトリングの2018(牡)は2億5000万円で(株)サトミホースカンパニーが落札。

ジンジャーパンチの2018の管理を予定している矢作芳人調教師は、

「サンデーサイレンスの入っていない血統背景は、種牡馬としての可能性も秘めていると思いますし、そのレベルの馬にしたいと思います」

 とのコメントをしていたが、同様にベルワトリングの2018を落札した(株)サトミホースカンパニーの里見治代表は、

「このセリに上場されていたキングカメハメハ産駒の中でも特別な印象を受けた馬でした。サンデーサイレンスの入っていない血統背景ということもありますが、ゆくゆくは種牡馬にしたいと思える馬です」

 と語っている。開会式における吉田氏の挨拶にもあったように、セレクトセールは多くのGJ馬だけでなく、数々の種牡馬も送り出されている。その他にも優秀な競走成績を残した牝馬は、繁殖としての価値も高めるなど、いわば「種牡馬候補」や「繁殖候補」を探すセールとも言える。

それが如実に表れたのがサンデーサイレンスを血統内に持たないキングカメハメハ産駒や、その後継種牡馬への評価の高さと言える。また、父にFrankelを持つマーゴットディドの2018(牡)は2億1000万円で金子真人ホールディングス(株)が落札しているが、Frankelの産駒実績や優秀な母系からしても、この馬も活躍の暁には種牡馬としての道が開けてくることだろう。

 ディープインパクト産駒はジョコンダ2の2018(牡)の後にも、ミュージカルウェイの2018(牡)が、1歳セクションの最高額となる3億6000万円で近藤利一氏が落札。

 近藤オーナーとともに会見に応じた、管理を予定している友道康夫調教師は、

「セリの下見から立ち、歩き、そして性格の良さと三拍子揃った印象がありました。距離適性的にもクラシックを目指していきたいです」

 と期待を寄せていた。また、サマーハの2018(牝)は牝馬の最高額となる2億1000万円で金子真人ホールディングス(株)が落札するなど、8頭がミリオン越えの取引をされたが、そのうちの3頭が牝馬となるなど、性別を問わない産駒の人気を証明した。

 さすがにセリも終盤となるとミリオンホースこそ誕生しなくなったが、それでも常に90%の売却率をキープし続けるなど、活発な取引が展開されていく。セリ時間は9時間を超えるも、それでも会場にはバイヤーが残り続け、お目当ての馬に活発なコールを送っていた。

 セールの最後にもドラマが待っていた。この日、最後の上場馬となったマラコスタムブラダの2018(牡、父ハーツクライ)は、あっと言う間に1億円を突破していき、2億円台の攻防に入る、その結果2億3000万円で(株)スリーエイチレーシングが落札。この結果をうけて売却総額は107億3200万円と前年(96億6150万円)から10億以上の上積みとなり、1歳セクションとしては初めて100億円を突破。売却率も92.9%と前年(90.1%)を上回る、過去最高の数字を記録した。

セリの後に記者会見に臨んだ日本競走馬協会理事の吉田勝己氏は、

「この結果には驚きしかありません。ディープインパクトだけでなく、ハーツクライ、ロードカナロア、ドゥラメンテといった種牡馬など、価格帯を問わずに活発な取引が行われたと思います。セリの時間こそ長くなりましたが、それだけ多くのオークショナーが何度も声をかけ続けるなど、本当のセリが続いた結果ではないでしょうか。当歳セクションも高い質の馬が揃っていますし、今日以上の競り合いも期待できそうです」

 と話した(価格は全て税抜き)。

2019年7月8日21時15分
(JRA-VAN)


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