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【セレクトセール2017】1日目の結果

7月10日、日本競走馬協会の主催する「セレクトセール2017」の1歳セクションが、苫小牧市・ノーザンホースパーク特設会場にて開催された。

今年で20回目という節目を迎えるセレクトセール。セリに先駆けて行われたオープニングセレモニーでは、日本競走馬協会の河野太郎会長から、

「1998年は48億円の市場だったセレクトセールが、昨年は149億円の売り上げと、今や約3倍の規模となりました。その間には42頭のGJホースが75のGJレースを勝利しており、その中からはマンハッタンカフェ、キングカメハメハ、ディープインパクトと言ったリーディングサイアーも輩出されています」

 とその歴史の中で、日本競馬界にセレクトセールが果たしてきた実績を語っていた。

 この日、1頭目の上場馬となったラルケットの2016(牡、父ルーラーシップ)が5200万円で阿部雅英氏が落札すると、そこからカルディーンの2016(牡、父オルフェーヴル)まで、なんと32頭連続での落札。価格帯を問わず白熱したセリが展開される中、この日、最初のミリオン越えの取引馬となったのは、シルヴァースカヤの2016(牡、父ディープインパクト)。最初の一声で1億円のお代を付けると、そこからみるみる電光掲示板の数字が更新されていき、2億6000万円を示したときに鑑定人のハンマーが降りた。

 購買者となった(株)キーファーズの関係者は、

「武豊騎手と凱旋門賞を勝ちたいという夢を叶えるために、この馬を購入しました」

 とコメント。その後も初年度産駒が2歳戦を沸かすロードカナロア産駒のキングスローズの2016(牡)が1億8000万円で(株)NICKSが落札。ミスセレンディピティの2016(牝、父キングカメハメハ)を1億500万円で野田みづき氏が落札と、連続落札の間には3頭のミリオンホースが誕生した。

 その後も落札率は驚異の90%オーバーを維持していき、ラストグルーヴの2016(牡、父キングカメハメハ)を1億2500万円で鬼塚義臣氏が落札。ミリオンには届かなくともディープインパクト産駒、ロードカナロア産駒も高い評価を受けるなど、種牡馬を問わず活発な取引が展開されていった。

 続くダブルミリオンの取引馬となったのは、サミターの2016(牡、父ディープインパクト)で、(株)ダノックスが2億5000万円で落札した。今年のセレクトセールでは、ハーツクライ産駒に高い評価が集まっており、バランセラの2016(牡)を1億3500万円で小笹芳央氏が落札。パレスルーマーの2016(牡)を1億3500万円で(株)ダノックスが落札。レツィーナの2016(牡)を1億1000万円で嶋田賢氏が落札している。

バランセラの2016を落札した小笹氏は、

「顔つき、筋肉も素晴らしく、是非とも手に入れたい馬だと思っていました。ハーツクライ産駒らしい切れのある走りを期待しています」

と笑顔で語っていた。小笹氏は1億8000万円の評価をされたガールオンファイアの2016(牡、父キングカメハメハ)も落札。

「遅生まれ(5月1日)ですが、綺麗な姿をしていた馬であり、ゆくゆくは大きいところを狙える馬になってくれると思います」

とこちらにも期待を寄せていた。

それでも、セレクトセールを取引価格で引っ張るのは、やはりディープインパクトの産駒。近親にGJ馬の名前がある産駒は性別を問わずに価格が上がっていき、ラヴズオンリーミーの2016(牝)は、1億6000万円で(株)DMM.comが落札。シャンパンドーロの2016(牡)は、1億9500万円で(株)インゼルが落札。メイキアシーの2016(牡)は1億4500万円で廣崎利洋HD(株)が落札。フリーティングスピリットの2016(牡)を野田みづき氏が1億円で落札している。

 シルヴァースカヤの2016、サミターの2016に続くダブルミリオンホースも、やはりディープインパクト産駒となった。全兄弟にローズSの勝ち馬、タッチングスピーチ(牝5、石坂)を持つリッスンの2016(牡)は、いきなり1億円の一声から500万単位、時には1千万単位でせり上がっていき、2億7000万円で里見治氏が落札。里見氏は、

「馬を見ていただいている池江(泰郎元調教師)先生からも、『ディープインパクト産駒ではこの馬が一番』だと勧めていただきました。ゆくゆくは種牡馬になれる馬だと思っていますし、ダービーを狙えるような馬になってもらいたいです」

 と話していた。里見氏は同じディープインパクト産駒のヘアキティーの2016(牝)も1億5500万円で落札した。

 ミリオンを超える取引馬の父がリーディングサイアーの産駒、もしくはGJ馬を数頭送り出している種牡馬の産駒にも関わらず、唯一、ミリオン越え(1億8000万円)で取引されたのが、ロードカナロア産駒のキングスローズの2016(牡)。

今年、初年度産駒をデビューさせたロードカナロアは、セレクトセールの前に早くも3頭の産駒が勝ち名乗りをあげているように、仕上がりの良さを証明。半兄で今年の牡馬クラシック戦線を沸かせたサトノアーサー(牡3、池江)もセレクトセール2015の1歳セクションで1億9500万円の評価がされており、兄弟2頭共にミリオン越えの評価を受けることになった。

今年のセレクトセール1歳セクションは平均価格の高さだけでなく、中間価格の高さにも証明されたように、価格帯を問わず活発な取引が行われており、8時間を超えるセリ時間にも証明されていた。

この日は242頭が上場され、うち216頭が落札。売却率は昨年(87.9%)を上回る89.3%。90%越えこそならなかったが、セリの終盤まで会場内にこだまするスポッターの声は途切れることが無かった。売却総額は86億3450万円(前年は81億3060万円)という驚異的なマーケットとなり、一頭辺りの平均落札額も3997万円(前年は3747万円)と、史上最高だった昨年を全ての数字で上回った。

この好結果を受けて記者会見に臨んだ日本競走馬協会理事の吉田勝己氏は、

「申し込みの段階や、下見に来られる購買者の数からしても、凄いセリになると思いましたが、去年を超える取引が行われたことは驚くばかりです。良質な馬が数多く上場できたことで、活発な取引が行われたと思いますし、高額取引馬もディープインパクト産駒だけでなく、様々な種牡馬の産駒(キングカメハメハ、ハーツクライ、ロードカナロア)からも現れてくれました。明日、行われる当歳セクションにも、下見の段階から多くの購買者の方が来られていましたし、今日と同様に活発な取引が行われると思います」

 と当歳セクションの盛り上がりにも期待していた。

※落札額、売却総額、平均落札額は全て税抜き

2017年7月10日20時55分
(JRA-VAN)


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