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【セレクトセール2016】2日目の結果

日本競走馬協会の主催する「セレクトセール2016」は、12日に苫小牧市・ノーザンホースパーク特設会場にて当歳セクションが開催。この日は232頭の当歳馬が会場に姿を見せた。

 この日は午前10時から開催されるセリに先駆けて、午前8時から比較展示を開催。朝早い時間にも関わらず、展示場所には多くのバイヤーが詰めかけ、時には母馬と比較しながら、上場馬の馬体に目を凝らしていた。

 セレクトセールの当歳セクションは、その年に初年度産駒を送り出した新種牡馬のお披露目ともなるが、このセレクトセールの出身馬でもあるジャスタウェイの初年度産駒、レイズアンドコールの2016(牡)が、この日、5頭目の上場馬として姿を見せた。激しい競り合いの結果、ジャスタウェイのオーナーでもある大和屋暁氏が4700万円で落札している。

 この日最初のミリオンホース、いやダブルミリオンホースとなったのは、昨日の1歳セクションでも高い評価を集めていたディープインパクトの産駒だった。イルーシヴウェーヴの2016(牡)は、里見治氏が2億8000万円で落札。その里見氏は、

「馬体のシルエットも素晴らしく、当歳馬の中では一番欲しいと思っていた馬です。予想以上に高い金額ともなりましたが、競り落とせたという意味では納得のいく結果でした。将来はクラシックを沸かせるような活躍を見せてもらいたいです」

 と話していた。その後もディープインパクト産駒は性別を問わずに活発な取引が続き、ファイナルスコアの2016(牝)は、1億5500万円で二木英徳氏が落札。セリメーヌの2016(牡)は、1億8000万円で(株)ダノックスが落札。カンビーナの2016(牡)は2億3000万円で島川隆哉氏が落札している。

 その一方で初年度産駒のデビューを来年に控えた、オルフェーヴルの産駒も軒並み高い評価を集めていく。その中でもプリティカリーナの2016(牡)が、1億円で (株)KTレーシングが落札し、初年度産駒が上場された昨年のセレクトセールも含めて、産駒では初めてのミリオンホースとなった。

 そして、ジャスタウェイの初年度産駒であるアドマイヤテレサの2016(牡)を、1億4000万円で近藤利一氏が落札。初年度産駒、しかも当歳セクションでのミリオンホース誕生は快挙でもあり、それだけジャスタウェイ産駒に対するバイヤーの期待度や注目度がうかがえたといえる。

 この日の当歳セクションでは、全兄にサトノダイヤモンド(きさらぎ賞、日本ダービー2着)を持つ血統背景も含めて、最も注目を集める存在だったのがマルペンサの2016(牡)。1億円から始まったセリはあっという間に2億円を突破し、この日の落札額トップタイとなる2億8000万円で、サトノダイヤモンドのオーナーでもある里見治氏が落札した。

 そのサトノダイヤモンドの当歳セクションでの落札額(2億3000万円)を上回る、評価を与えられたマルペンサの2016について里見氏は、

「6月に馬の下見に来た時には、同じ時期の兄の方がよく見えましたが、今日、改めて馬体を見てみると、兄と遜色ない成長を遂げていました。そう思った時には、弟も買わなくてはいけないと思うようになりましたね」

 と話していた。この日は最高額馬の2頭を共に2億8000万円で落札。そのことについて質問を向けられると、

「高いとは思いますが、いい馬を買ったという意味での満足度は100%です」

 と笑顔を見せていた。

 高額馬誕生の興奮も冷めやらぬ会場で、あっという間に電光掲示板の掲示を1億に書き換え、そして1億7000万円の評価がされたのが、ホエールキャプチャの2016(牡)。母はヴィクトリアマイルの勝ち馬であり、年度代表馬に輝いた父の獲得G1タイトルと合わせると、「G1 7勝ベイビー」ともなる。

 落札者となった(有)ビッグレッドファームの岡田紘和氏は

「母、そして父は全身運動で走る馬であり、その特徴が良く反映されていると思います。バランスの取れた好馬体をしており、身体の柔らかさ、筋力の強さ、運動神経の良さも申し分ありません」

 と競馬ファン注目の良血馬へ期待を寄せていた。

 これまでの当歳セクションにおける平均価格の最高は2006年の3774万円だったが、それを上回る数字での活発な取引が続いていく。ミリオンホースの取引馬こそ無かったものの、マンビアの2016(牡、父Kingman)を8800万円で(株)ダノックスが落札。ラリズの2016(牡、父ハーツクライ)を9700万円で阿部雅英氏が落札。シャムロッカーの2016(牡、父オルフェーヴル)を9400万円で金子真人ホールディングス(株)と、ディープインパクト以外の種牡馬の産駒からも高額取引馬が誕生し、平均価格を高い水準でキープし続けていく。

 その平均落札額を遙かに超えるダブルミリオンでの取引馬となったのが、マンデラの2016(牡、父ディープインパクト)。2億4000万円で大塚亮一氏が落札している。

 きさらぎ賞を制し、日本ダービーでは1番人気の支持を集めるなど、牡馬クラシックレースを沸かせたワールドエースの全兄弟となるマンデラの2016だが、実は大塚氏はクラブの所属馬として走っていたワールドエースの名付け親でもあった。

「弟がセレクトセールに上場されてくるのを心待ちにしていました。この馬がどうしても欲しいと思っていただけに、落札できた今はとてもドキドキしています。将来的には兄が取れなかった、日本ダービーを勝つような馬になってもらいたいです」

 と興奮した様子で話していた。

 セリの終盤では連続の落札も続いたように、最後まで活発な声かけが続いていく。最後の上場馬であるウルトラブレンドの2016(牡、父ロードカナロア)は、3600万円で(有)シルク・ホースクラブが落札。その結果、上場頭数232頭中、売却頭数は173頭となり、売却率は74.6%(前年は79.3%)と昨年よりポイントを落としたものの、売却総額は68億1150万円(前年は60億6900万円)と大幅にアップ。一頭辺りの平均落札額も3937万円(前年は3298万円)と、昨年の当歳セクションでの数字を大きく上回るストロングセールとなった。

 ちなみに1歳セクション、当歳セクションと二日間を合わせた売却総額は、149億4210万円と二日間開催となってからのセールレコードを更新。二日間を通しての売却率は81.4%と昨年(83.8%)よりポイントを落としたものの、それでも売却総額が上回ったのは、1歳セクションで14頭、当歳セクションでも9頭というミリオンホースの誕生が、その後押しをしたとも言える。

 このセール結果を受けて記者会見に臨んだ、社台ファーム代表で、日本競走馬協会会長代行の吉田照哉氏は、

「二日間を通して150億円近い売り上げを記録したセリとなったことは、我々としても驚くばかりです。これも近年における日本馬の海外における活躍が、世界に通用する馬をここで手に入れたいという前向きな気持ちに繋がったことで、海外からの購買者を含めたより活発な取引に繋がったのではないのでしょうか。ディープインパクト産駒を中心に高額落札馬も多数取引されましたが、ほとんどの取引馬が世界各国のチャンピオンクラスの繁殖との配合であり、父母共により『インパクト』のある血統馬となったのではないかという気もしています」

 と話すと、取り囲んだ取材陣からは笑顔もこぼれていた。
※落札額、売却総額、平均落札額は全て税抜き


2016年7月12日20時20分
(JRA-VAN)


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