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【セレクトセール2013】2日目の結果

7月9日、社団法人日本競走馬協会が主催する「JRHAセレクトセール2013」は、2日目となる当歳セクションが行われた。

当歳セクションが行われたこの日は、午前8時から森林馬道にて上場馬の展示が行われた。小雨の降りしきるあいにくのコンディションとなったものの、参加者からは「昨日の暑さに比べると、馬が見やすくてちょうどいい」との声も聞かれていた。

展示された上場馬のほとんどがまだ離乳前ということもあって、母馬に寄り添う当歳馬の姿も多く見られており、そんなほほえましい親仔の姿を写真に収める購買関係者の姿もあった。

そんな中でも購買関係者の視線を集めていたのは、昨日の1歳セクションでも1億円以上の取引馬を次々と送り出していたディープインパクト産駒、そしてこの世代が初年度となる新種牡馬の産駒たちである。

この当歳セクションではヴィクトワールピサカジノドライヴダノンシャンティワークフォースが初年度産駒を送り出しており、産駒の馬体だけでなく、取引価格という評価にも注目が集まった。

新種牡馬の中で最初の上場馬となったのは、マルカサワヤカの2013(牝、父ワークフォース)。1000万円で河長産業(株)が落札すると、近親にトゥザヴィクトリーの名前もあるアゲヒバリの2013(牡、父ワークフォース)には至る所からスポッターの掛け声が響き、4200万円で(株)ダノックスが落札した。

昨年の当歳セクションを超える売却率、そして平均価格での取引が進んでいく中、この日、最初のディープインパクト産駒となるリュシオルの2013(牡)を8200万円で里見治氏が落札し、やはりセールを盛り上げるのはディープインパクトの産駒であることを証明していく。

そして今日、最初のミリオンホース、いや、ダブルミリオンとなる2億4000万円の落札となったのは、ディープインパクトとアメリカ年度代表馬にも輝いた名牝との間に誕生した、アゼリの2013(牡)だった。

鑑定人が「アゼリの2013」と読み上げてしばらくして、スポッターから1億円との声がかかる。そこで軽いどよめきが起こった後、「2億!」と別のスポッターが声をあげると、先ほどのどよめきとは違って、驚きのような声も聞こえていた。

鑑定人が数字を読み上げたのは電光掲示板の数字が2億4000万円を掲示されてしばらくたってから。この金額としては珍しいほどに短時間のセリとなったが、2億4000万円という数字が表示されたときに、セリは終わっていたのだろう。ハンマーが振り落されると、会場内からは今年のセレクトセールでは初めての拍手が起こった。

落札をしたのは、(有)デスクバレットでエージェントを務める田辺滋久氏。

「血統は超一流ですし、顔、体つき、バランスと欠点らしい欠点のない最高の馬だと思います。ディープインパクトらしさも感じられるだけでなく、ディープインパクト産駒の活躍馬に共通する長所も馬体に表れています」

と話し、2億4000万円という評価に対しては、

「それだけの血統、馬体を有している馬だと思っていましたし、将来的には競走馬としての活躍だけでなく、種牡馬にもなりえる馬だと思っています」

と高い評価の裏付けを語っていた。また、(有)デスクバレットは近親にエアグルーヴの名前もあるソニックグルーヴの2013(牡、父キングカメハメハ)も8200万円で落札。

「血統も素晴らしいですし、すっきりとした馬体も高い評価をしていました」

と高額落札馬の2頭に期待をうかがわせていた。

午前中の雨も上がると、会場となったノーザンホースパークは蒸し暑さを増していく。外からの風がそれほど入ってこないセリ会場内のインドアにも熱気がこもることとなったが、その熱と重なるかのように、セリは白熱していく。

この日、2頭目となったディープインパクト産駒のダブルミリオンホースは、2億3000万円で落札されたマルペンサの2013(牡)。落札者となった里見治氏は、

「事前にノーザンファームで馬体を見たのですが、無駄な筋肉も無く素晴らしい馬でした。動きの柔らかさは父譲りといえますし、素晴らしい馬だと思います。今日はこの馬だけでも買えればいいと思っていました。ディープインパクトをよく知る、池江泰郎元調教師からも高い評価をいただいています」

と話していた。

ディープインパクト産駒のフィーバーは続いていく。このセレクトセールで取引されたディープブリランテの全妹となるラヴアンドバブルズ2013(牝)がこの日、上場された牝馬の最高額となる1億500万円で窪田芳郎氏が落札し、リリーオブザヴァレーの2013(牡)は、昨日に行われた当歳セクションでもディープインパクト産駒のパーシステントリーの2012(牡)を1億7000万円で落札した島川隆哉氏の元に、1億9000万円でハンマーが降りた。

島川氏は取材陣に囲まれると、

「もう少し安ければ良かったのですが…」

と苦笑いを浮かべたあと、

「母(リリーオブザヴァレー、G1オペラ賞などを含む7勝)が欲しいほどに評価していた血統です。このセールでは一番の馬だと思っていました。第一希望の馬が手に入ったわけですし、あとは牧場に任せるだけです」

と生産牧場である社台ファームのスタッフを見ながら、笑顔で話していた。

その後、アーマインの2013(牡)が、ミリオンにもう少しの9400万円でスクーデリアに落札され、ディープインパクトフィーバーは落ち着きを見せたようにも思われたが、この世代が初年度産駒となるヴィクトワールピサの産駒が、会場内をあっと言わせる。

メイキアシーの2013(牡)は、最初の一声が1000万円ながらも、どんどん評価は上がっていき、ついには1億円を突破。最終的には1億1000万円で(株)MMBが落札した。

(株)MMBのエージェントを務める竹内啓安氏は、

「新種牡馬ながら、血統、配合、馬体と三拍子揃った馬でした。近親には英国ダービー馬のプールモワもいる血統ですし、ヴィクトワールピサの産駒ということもあって、世界に通用する馬だと思います。今後は日本のクラシックだけでなく、世界を目指すような競走馬になってもらいたいです」

と語っていた。新種牡馬ながら1億を超える評価となったことについては、

「いい馬だったということを、自分だけでなく多くの人が評価したからこその評価でしょうし、ミリオンという価格にふさわしい馬だとも思っています」

と納得した表情を浮かべていた。

この日の当歳セッションでは220頭中166頭が取引された。売却率は昨年の74.9%を上回る75.5%を記録。売上総額56億400万円となり、昨年を大きく上回った。昨日に行われた1歳セクションでも好調な売れ行きを記録したことで、総売り上げは117億6470万円となり、これは3日間開催だった2006年の117億5450万円を超えるセレクトセールレコードとなった。

日本競走馬協会副会長で、社台ファーム代表でもある吉田照哉氏は記録づくめとなった今年のセレクトセールを振り返り、

「信じられない思いがしています。アベノミクスによる資産の増加なども追い風になったのでしょうし、ディープインパクト産駒をはじめ、キングカメハメハの産駒やサンデーサイレンス系の種牡馬たちなども市場での信頼性が増したことが、このセールスに繋がったのではないのでしょうか」

と分析していた。今年はカタール王族のファハド・アル・ターニ殿下など、海外からのバイヤーも多くセリに参加したことに際しては、

「日本産馬の活躍だけでなく、海外から良質の繁殖牝馬も導入されていることで、世界からも注目されているセールとなっていることは間違いありません。今後はセリ出身馬の競走成績も含めて、世界最高のセリに近づけていきたいと思います」

と充実した表情で語っていた。

(取引価格は全て税抜き)

2013年7月9日19時40分
(JRA-VAN)


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