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【セレクトセール2012】2日目の結果

苫小牧市・ノーザンホースパークで開催されている「JRHAセレクトセール2012」(社団法人日本競走馬協会主催)は2日目となる7月10日、当歳セッションが行われた。

この日は10時からのセリに先駆けて、8時から上場馬の展示が行われていた。展示会場となったノーザンファーム空港牧場内の森林馬道には、展示直後から多くのバイヤーが集まり、セリの開始時刻ぎりぎりまで熱心に上場馬をチェックする姿も見受けられた。

当歳セッションで注目を集めるのは、この世代が初年度産駒となる新種牡馬の産駒たち。その中で先陣を切って上場されたハービンジャーの産駒、フォルクローレの2012(牡)はいきなり5400万円の高評価を集める。その後に上場されたウエストコーストの2012(牝)も3300万円で落札と、ハービンジャーとその産駒に対する注目度の高さをうかがわせた。

これまでのセレクトセールの流れからすると、高額馬が現れるにはセリがそれなりに進行し、会場内が高額馬の登場を迎え入れるべく期待感が籠ったような印象があったのだが、スカイディーバの2012(牡、父ディープインパクト)の時は違っていた。最初のお代の後で鑑定人が読み上げた金額は、いきなりのミリオン超えとなる1億5000万円。その後も千万単位で数字は上がっていき、2億5000万円を鑑定人が告げた後、その余韻が会場内に広がるのとほぼ同じ時間の後に、ハンマーが落ちた。

落札者となったのは里見治氏。

「今回、上場された当歳馬では抜けた雰囲気がありました。ディープインパクトの産駒としては大柄に出ていますがバランスも取れており、将来的には海外でも活躍してほしい馬だと思っています」

と里見氏は落札後に語っていた。この後、もう1頭のミリオンホースも誕生するのだが、その産駒の父もまた、ディープインパクトだった。

プリティカリーナの2012(牡)は、鑑定台に姿を現した瞬間にスポッターが次々とサインをかかげ、みるみるうちに金額が上がっていく。白熱したセリは1億を超え。電光掲示板が1億1000万の表示に変わってからしばらくして表示が反転した。

その他にディープインパクト産駒はルンバブギーの2012(牝)が3500万円、オークス馬の産駒となるスマイルトゥモローの2012(牡)が5800万円、同じくオークス馬の産駒エリモエクセルの2012(牝)が6400万円、モアザンベストの2012(牝)が7000万円、

アイアムアドーターの2012(牡)が5400万円など、次々と高額落札馬が誕生していく。

その一方で気を吐いたのは新種牡馬の産駒たち。ハービンジャーを父に持つアルフォンシーヌの2012(牡)が5200万円、ギーニョの2012(牡)が6600万円など活発な取引が行われ、この世代が日本での初年度産駒となるエンパイアメーカーもトレンドハンターの2012(牝)が6200万円という高額落札馬が誕生した。

種牡馬実績充分のネオユニヴァースクロフネマンハッタンカフェの産駒も高額で取引されていく中、やはり1億の壁をやすやすと乗り越えたのはディープインパクト産駒たち。カリの2012(牡)には1億2000万の評価が付けられ、やはりこのセールの主役であることを証明した後、会場に入ってきたのが今年の日本ダービー馬の全妹となるラヴアンドバブルズの2012(牝)だった。

ディープブリランテもまた、「セレクトセール2009」の当歳セッションで、」3100万円の評価がされた馬。その落札額を大幅に上回る7000万円のお代で始まったセリは、充分にバイヤーに考える時間を与えるように進行していく。当たり前のように1億を超え、500万単位でセリ上がっていくと、この日の牝馬最高取引額となる1億4500万円で落札。その時、会場からは拍手も起こっていた。

落札者となったのは、Paul Fudge氏。世界の市場で競走馬を購入し、また、自分でも牧場を営むというPaul氏は、

「将来的には基礎牝馬となる馬だとも思っています。ヨーロッパを含め、まだ、どこで走らせるかは決まっていませんが、日本で競馬を使うプランもあります」

と話していた。

その後も、最後の上場馬まで熱が冷めることなくセリは続いていったが、その最後の上場馬となるケアレスウィスパーの2012(牡、ハービンジャー)が鑑定台に姿を見せた時、ドラマは起こった。最初の一声が1千万だった馬が、どんどんその評価を上げていき、ついには1億を突破。このセール好調のハービンジャー産駒ということも加味されていたのは間違いないが、それでも「セレクトセール2012」の大トリを飾るに相応しい1億3500万円という最高の評価でハンマーは落とされた。

この日の当歳セッションでは211頭中158頭が取引され、売却率は昨年を上回る74.9%を記録。売上総額は48億4370万円となり、1頭辺りの平均落札も昨年を300万以上上回る3066万円となった。一日目の1歳セッション、二日目の当歳セッションを合わせた売上総額は102億9630万円と2007年ぶりとなる100億を突破。二日間開催に日程が改められてからも最高の数字となった。

日本競走馬協会副会長で、社台ファーム代表でもある吉田照哉氏は、

「下見から多くのお客様に来ていただけて、セリはある程度の盛り上がりを見せるのではと思っていましたが、予想を遥かに上回る成績となりました。今回は新しく参入された馬主の方も満遍なくセリに参加していただけたことで、最後までいい緊張感を保てたセリができたのではないのでしょうか」

と話していた。また、このセールで平均落札額が8千万台を記録したディープインパクト、そして新種牡馬ながら好調なセールスを記録したハービンジャーについて聞かれると、

「ディープインパクトという種牡馬の存在がセリの焦点を絞りやすくしたのは事実でしょうし、ディープブリランテの活躍もいい波及効果につながった印象があります。一時期のサンデーサイレンスに代わる存在になりつつあり、ステイゴールドなどと共に、サンデーサイレンス系を更に発展する存在になると思います。ハービンジャーはびっくりするほどの評価がされていましたが、当歳のころから馬体の評価が高く、また良質な牝馬との配合馬が多かったことで、更に評価を高めたのではないのでしょうか。今後は日本の競馬界に貢献する種牡馬となってくれると思います」

とも述べていた。最後に今年のセレクトセールについての点数について聞かれると、

「100点以上は付けてもいいと思います」と吉田氏は充実した二日間を振り返るように、満面の笑顔を見せていた。

(取引価格は全て税抜き)

2012年7月10日20時0分
(JRA-VAN)


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