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[BCクラシック]斎藤修氏によるレース回顧
カジノドライヴの再挑戦に期待
逃げていたカジノドライヴが4コーナーで馬群に沈み、一旦は先頭に立ったカーリンも直線での伸びが見られず4着。
勝ったのは、ヨーロッパから遠征のレイヴンズパス。前走イギリス・アスコット競馬場芝8FのGI、クイーンエリザベスII世Sを勝ってここに臨んでいた。
日本人にとってはもちろん、地元アメリカの競馬ファンにとっても衝撃のシーンだったに違いない。
好スタートのカジノドライヴは、ほかに行く馬がなく押し出されるようにハナに立った。「ペースはパーフェクトなもので、気持ちよく走っていたが、並ばれたらまったく反応がなかった」とエスピノーザ騎手。
「ペースは遅く見えたけど、速かったんでしょう」と藤沢調教師も分析する。
2ハロンごとの通過タイムは、23.77-47.60-1:11.64-1:35.48と淀みのない流れ。そして勝ちタイム1:59.27は、馬場が改修されたばかりとはいえ、コースレコードでの決着だった。デビュー4戦目となる3歳馬にとって、世界トップクラスの古馬相手のレースは、想像以上に厳しいものだったのかもしれない。
そして連覇は確実かと思われたカーリンは、3〜4コーナーで大外から一気にまくり、そのまま突き抜けるのではないかという勢いだった。しかし直線では思ったほど伸びず、レイヴンズパス、ヘンリーザナビゲーター、ティアゴに次々と交わされた。
今年もっとも大きく変わったことは、ブリーダーズCでは初となるオールウェザーの馬場。まさにそれこそが、カーリンにとっての唯一ともいえる懸念材料だった。
近年、カリフォルニア州をはじめとするいくつかの競馬場に導入されたオールウェザーの馬場(サンタアニタ競馬場はプロライドという製品を使用)は、芝の活躍馬が好走する傾向があると言われている。それゆえ、今回のBCクラシックには、欧州そして北米の芝路線から計4頭の挑戦があった。
勝ったレイヴンズパス、2着のヘンリーザナビゲーターは、ともに欧州マイル路線での活躍馬。先行勢には厳しい流れで、芝のマイル戦を得意とする両馬の一瞬の切れる脚が生きたのかもしれない。
地元北米勢では最先着の3着だったティアゴは、西海岸がベースでこれまでオールウェザーを中心に使われ、昨年ではあるがGI勝ちもあった。
対して、4着に敗れたカーリンはといえば、この秋は凱旋門賞挑戦を目指して出走した芝のレースで、直線伸びず2着に敗れていた。今回の直線での伸びを欠いた様子は、まさにそのときと同じようだった。
この結果だけを見て、オールウェザーの馬場は芝の活躍馬に向いていると決めつけることはできないが、北米最高峰のレースで出された結果であることは間違いない。
最下位という残念な結果となったカジノドライヴは、ベルモントS回避の影響が長引き「結果的に使い出しが遅くなったぶん、ちょっとローテーションに余裕がなかった」という藤沢調教師の言葉に尽きるのではないだろうか。
このあとは日本に戻って休養。その後は自己条件の1600万クラスから始動するとのこと。「また来ますよ」という来年の挑戦を楽しみにしたい。
(斎藤修)
2008年10月26日14時30分
(JRA-VAN)